20000番キリ番ゲッター 月夜野2号様リクエスト

封殺鬼 三吾×眞巳 −1−

高柳 悠    

 

他流派の有力者との会合のために上京してきた眞巳は、荷物をおくために三吾のマンションへよったが、すぐに出かけてしまった。

しかも遅くなる、とのこと。

しかたないので、一人で夕飯をとってリビングで大人しく眞巳の帰りを待つことにる。

帰ってきたら、あんなこととかそんなこととか色々と寝かさないぞ!と心に決めてる。

なんせ、本当に時間がなかったらしく、玄関まで出迎えた三吾に荷物を押し付けて、出ていってしまったのだ。

キスどころが、触れることすらしていない。

あんなこととかそんなことをしても、バチはあたらないだろう。

が、眞巳が帰ってきてくれないと、それも出来ない。

見上げた壁掛け時計は、10時を回っている。

「・・・・・・おっせーなぁ・・・・・電話してみっかなぁ」

もっとも、会合中に眞巳が電話に出てくれるかは謎だが?

誰か東京別宅の者が付いているのだろうけど、あいにく三吾は顔すら知らない。

なので、彼らの携帯番号も知らないし、実は別宅そのものの電話番号も知らない。

こういう時には不便だから、調べこうと思ったところで玄関の鍵が開く音がした。

だらしなく寝そべっていた体を一瞬で起こして、玄関までダッシュで出迎える。

「お帰り!」

あんなこととかそんなことの前に兎に角まずキスするんだ!と駆けつけたのだが、ただいまと答えた眞巳の表情がちょっと変だったので急停止した。

「何かあったのか?」

「・・・・・・・いや、別に」

少しの間の後、そう答えた眞巳は玄関からあがってリビングへと向かった。

が、リビングの扉の前で急に立ち止まり、自分の左手をじっと見詰める。

眞巳の後を慌てておった三吾は、思わずぶつかりそうになったが何とかどどまり、やはりどこか変な眞巳の様子をうかがった。

「兄さん?」

じっと手を見つめていた瞳が、呼ばれたせいか三吾に向けられる。今度は三吾をじっとみていたが、そのうち左手と三吾へと交互に動き、仕舞いには考え込むように俯いてしまった。

「・・・・どしたの?」

こんな曖昧な行動をする眞巳は初めてで、三吾には手出しが出来ない。とりあえず意識をこっちに向けてもらおうと、肩に手を置いてみた。

すると今度は、肩に置かれた三吾の手に視線が動いた。

視線が止まっているので、三吾も動けずじっと眞巳の出方を見詰めてしまった。

眞巳が動いたのは、しばらくたってからで

「・・・・・手を洗ってくる」

と言い残して、洗面所へと消えた。

ちょっと唖然としてしまったので置いて行かれた形の三吾も、我に返り洗面所へと向かった。

洗面所で眞巳はさっき言ったとおり手を洗っていた。

ハンドソープを泡立てて丁寧に洗っている姿がちょっと神経質そうに見えて、やはり変だと感じる。

「やっぱ、何かあっただろ?」

「・・・・・・いや」

再度の三吾に質問に、眞巳は先ほどと同じ返事をしたが、表情がちょっと困っているように思えた。

考える風だったので待っていると、しばらくして語りだす。

「別に・・・・今までと変わったことはなかったんだ。・・・今日の会合の相手とは揉める要素は何処にもなかったし・・・・・・ただ・・・・・」

「・・・・・・・ただ?」

「・・・・・・手を握られたんだ」

「はぁ?!」

「たから、手を握られたんだ」

眞巳は、泡だらけの左手をじっと見つめる。

「何だってーーーーっ?!」

一瞬の間の後、三吾絶叫が洗面所に響き渡る。

「何もなくないじゃないか!」

いや、別に・・・・なんてしれっと答えていた兄の神経が分からない。三吾にとっては大問題だ。

「でも、手を握られたり摩られたり、肩を抱かれたり、腿に手を置くとかはしょっちゅうだったから、別に今日だけ特別という訳ではないんだ」

三吾は眞巳の言葉に卒倒しそうになった。だかここで卒倒しても何もならないので気を取り直すように深呼吸をする。

だが。

もしかして、他でもそんなやからがいっぱいいるのか?

眞巳は結構しょっちゅう会合やら打ち合わせやら裏取引やらであっちこっち行っているけど、身体で取引とかあっちゃったりしたのだろうか?

そんなマンガみたいなことが、眞巳の身におきていたのだろうか?

だが、眞巳のバックヴァージンは確かに三吾が貰ったはずだ・・・・・違ったのか?

などと色々走馬灯のように思考が流れ飛び、実際に言葉になって出てこない。

そんな三吾の目の前で、眞巳は冷静だった。

「だけど・・・・・・・今日はちょっと嫌だと感じたんだ」

そう言うと、眞巳は手を洗うことにまた戻る。

「え?」

「・・・・・今まで別に気にしたことはなかったんだが、今日は嫌だった・・・・」

泡を水で綺麗に洗い落とすと、綺麗な指を持つ手が現れる。

「正確に言うと、ずいぶん前からだと思うんだけど、何時からかは分からないんだ。それに理由も分からなかった」

用意してあったタオルで丁寧に水分をふき取る。

「・・・・・理由は、さっき分かったけど」

三吾の正面に向き直ると、ゆっくりと笑った。

いまいち分かっていない三吾の胸にゆっくりと頭を預けて、小さくささやく。

「三吾の所為」

 

 

 

−NEXT−

 

 

 

あんなこととかそんなこと・・・・は気が向いたら書くかもしれません〜

(注)同人誌の自己設定を基準に書いてしまいました

三吾はマンション暮らしです