20000番キリ番ゲッター 月夜野2号様リクエスト

封殺鬼 三吾×眞巳 −2−

高柳 悠    

 

小作りな眞巳の頭が三吾の胸にこつんとあたって、凭れる。

そんな男心をくすぐる動作もさることながら、三吾の心臓を打ち抜いたのは眞巳の台詞だった。

間髪いれずにギュッとギュウと抱きしめて、肩口に顔を埋めた。

「痛いよ」

と眞巳が言っても力を緩めることは出来なかった。

男たちが触れてきた本当の意味も全然分かっていないのに、こうやって心を鷲掴みにするような動作や台詞を無意識にするなんて、本当に気が抜けない。

前々からこういうことには無関心過ぎると思っていたが、三吾が手を出すまで良く無事でこれたと感心する。

眞巳のまわりを固めていた側近に、このことに関しては感謝しなくてはならない。

触られることに無関心だった眞巳を守ることは、並大抵な努力ではなかっただろう。

感謝しつつ、眞巳にも釘を打っておかなければならない。

「兄さん」

ちょっと恐い声で読んでみると、腕に大人しく収まっていた眞巳が見上げてきた。

「今後、一切お触り禁止!」

視線の先で長い睫毛を持った目蓋が、ゆっくり一回瞬きをした。

「・・・どうして?」

「どうしてってねーーーーっ、犯されちゃったらどうするんだよっ!」

かりにも本家・御影の長男にそうそう手を出す奴がいるとは思えないが、酒の入った席もあるわけだし、何があるかは分からない。

眞巳もそれなりの武術・呪術の心得はあるが、相手もその筋なのである。

なのに、三吾の直接的発言を眞巳は一笑に伏した。

「お前じゃあるまいし」

ぐうの音も出ないが、実行犯だからこそ分かる事情もある訳で。

「とにかく、駄目」

さらなる駄目出しに、眞巳は小首を傾げた。

さっき嫌だと言ってたのに、何故か色よい返答をしてくれない。

「まさかっ・・・・兄さん・・・・・・・」

無関心だったのではなく、知りすぎていたのだろうか・・・・・。

隣の部屋には豪華な布団がしいてあって、その上に押し倒されて、白い肌のをしわの入ったシミだらけの手が這い回ったりとか。

爺さんだから、自分じゃもう起たなくて妖しげな道具とか使っちゃたりとか。

若くて逞しい部下とかに、やらせちゃったりとか。

「・・・・・お前、今ろくでもない事を考えただろう?」

百面相をしていた三吾を我に返らせたのは眞巳の不信そうな声だった。

「あ、いや・・・別に・・・・、と、兎に角、触らせちゃ駄目だからな」

「だが、そうすると話が上手くいくことが多いんだ。ちょっと触らせて上手くいくなら、後で色々画策するよりいいかと思う」

やっぱりだぶん、分かってない。

しかしそこは御影の長男。話をこちら側に転ばせる手段としては使えることには気が付いていた訳だ。

なのに、何故その先の「犯される」には気が付かないんだろう?

「嫌なんだろ」

「・・・・嫌だよ」

「俺も、俺以外が兄さんに触れるのは、嫌」

だから、止めて。

真摯な視線を受け止めて、眞巳の瞳が揺れた。

「・・・・努力する」

本家の立場と三吾の願いを自分の気持ちの出来うる限りの接点で、眞巳は答えた。

納得は全然いかないが、三吾は言葉を飲み込んだ。

眞巳は、御影眞巳だ。

飲み込んだ言葉を空気といっしょに体内から吐き出して、三吾は気持ちを切り換えた。

眞巳がここにいられるのは、そんなに長い時間ではないのだから。

「・・・・・ところで、キスもまだなんだけど?」

眞巳が帰ってきたらやろうと思っていた、あんなことやそんなことを実行に移すべく、唇に触れるぎりぎりで囁いてみた。

少し硬い表情がふわりと解けて、瞳が和らぐ。

その様子をみて、三吾が思っている以上に眞巳が色々と思うところがあるのだと気が付く。

この人は結局、三吾に良く有れと思うことしかしないのだから。

そのためには、もっと自分を大切にしてくれないと困るというとこは、もっと時間をかけてゆっくりと教えてやらなければ、と思う。

もちろん、ベットの上で。

 

END

 

あんなことやそんなこと、を期待した人

すいません

そこまで入ってません

ちょっとしっかりやりたい(?)と思ったので

キリ番ゲッター月夜野2号様に同心誌化の許可をいただきました

HP上では思いっきり出来ないし、裏ページも増やしたくないので

続きは同人誌となります

2002年5月予定です

・・・・・その割にたいしたことなかったら、謝るしかない(笑)