8000番キリ番ゲッター  桜 様リクエスト

仮面ライダークウガ 五代×一条

高柳 悠    

 

(1)

 

 

別行動をしていた杉田と本部で顔を合わせた途端、一条は即刻「帰れ!」を厳命され

た。それほど酷い顔色だったらしい。

自分でも疲れを意識していたし、言葉にされてしまうと余計に限界を感じて一条はお言葉に甘えて帰らせてもらうことにした。

疲れた足取りで自宅のドアの前までたどり着き、鍵をまわして開錠しようとして鍵があいていることに気が付いた。

自宅に戻るのは2日ぶりで、連日本部へ泊り込んでいた一条である。

母親が看護婦として働いていたため、鍵をかけるということは見についた習慣でかけ忘れとは思えない。

緊張しながらドアをそっと開けると、カレーのいい匂いが漂ってくる。

付いている電気と、聞こえてくる鼻歌。

「五代?」

開け放った玄関先で声を上げると、キッチンの方から廊下へひょっこりと五代が顔を覗かせた。

「あっれー?一條さん。お帰りなさい」

一条を見つけて嬉しそうに玄関までお出迎えに来た彼の手には、おたまが握られていて

ボレボレの店名入りのエプロンを着けている。

「君は・・・・どうしたんだ?」

どうして此処にいるのか?どうやって入ることが出来たのか?そしていったい何をしているのか?

全部の質問をひっくるめて問い掛けると、意外と感のいい五代はにっこり笑って

「おやっさんの冒険仲間が遊びに来たから店が休みになったですよ。だから一條さんに会いにきたんだけど、たぶん仕事だろうから食事でも作っておこうと思って。あ、鍵は貰った合鍵で」

一條さん、ちゃんと食べてないでしょ?だから、ね。カレーだったら作り置き出来るし、暖めるのも簡単でしょ、と玄関に立ったままの一条を招きいれながらそう言う。

そういえば、ねだられて合鍵を渡していたんだ。家に帰ること自体が稀なのですっかり忘れていた。

「いやー、一條さん帰ってくるの遅いだろうし、下手すると泊り込みとかしてるし、会えないかと思ったけど、よかったーぁ」

愛の力!なんて一条の目を真っ直ぐにみて、全開で微笑む

いつもの直球な表現に一条が頬を赤く染める前に、五代の顔が心配げに揺らいだ。

「・・・・一条さん、具合悪い?」

「いや・・・・大丈夫だ」

要らぬ心配をかけぬように笑って見せるが、そんなことでは誤魔化されてくれるような男ではなかった。

「ゆっくりお風呂であったまって入って、ちゃんとご飯食べて、しっかり寝る!・・・・でないと、本当に体壊しちゃうよ?」

一条の手を取って、そっと指先に口付ける。

片手におたま、というのが笑えるが気持ちがこもった眼差しに

「・・・そうだな」

と、頷いた。

「俺も今日は我慢するから!」

何を、と問う前に五代の肉厚の口唇が先ほど神聖に口付けた指先を、ゆっくりと含む。

「ごっ、五代!」

慌てて手を五代から取り戻して、頬を染めつつ睨みつけるが

「我慢、我慢〜♪」

と身軽くキッチンに逃げ込んでしまった五代には全然きいていない。

「あ、先にお風呂はいってくださいねー」

キッチンから五代の声が飛んでくる。

分かった、と答えながらその後で小さく

「・・・・・別に我慢なんてしなくていいのに・・・・・・」

と呟いたのは、五代には届かなかった。

 

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