8000番キリ番ゲッター 桜 様リクエスト 仮面ライダークウガ 五代×一条 |
高柳 悠
(2)
風呂からこころもち急いで上がって、ダイニングに入るとテーブルの上には暖かそうな食事が出来上がっていた。 五代特製のカレーと彩りも鮮やかなサラダ、それにコンソメスープ。 飲食関係の仕事をしているだけあって、綺麗に盛り付けれられているし、テーブルコーディネイトも抜群で、ちょっとしたレストランでの食事のようだ。 「すごいな」 自宅でこんな食事をとることがあるとは思っていなかった一条が感嘆を口にすると、五代は嬉しそうに笑って一条をテーブルにつかせるために手を取って導いた。 繋がれてた左手に少し照れながら、手を引かれてテーブルにつく。 「じゃ、食べましょうか。いっただきまーす」 行儀よく食事の前の挨拶をしてから、スプーンで五代は食事をはじめる。 右手に持ったスプーンでカレーをすくって、サラダを食べる時はフォークにもちかえる。自分で作った料理を実に美味しそうに食べている五代はそれは幸せそうだが、その目の前に座っている一条はちょっと困ったようにスプーン片手に固まっていた。 「五代・・・・・・」 「何?あっれ、一條さん食べないの?美味しいのに」 にっこり、笑う。 「いや・・・・・その・・・・」 「あ、何か嫌いなものありました?」 「そうじゃぁない。そうじゃなくて・・・・」 口篭もって、視線を泳がせて、一条は五代を伺い見る。 「・・・・・あの・・・・・・」 「何?」 たぶん分かっていてとぼけている結構食わせ物な五代という男は、一条に愛情いっぱいな笑顔を向けてくる。 「・・・・・・何でも、ない」 ちらりと視線を当ててから、一条はため息をついた後で食事をはじめた。 視線の先には、繋がったままの左手。 テーブルの上で、五代の大きな手に包まれて拘束されたままの、左手。 右手だけだって食事は出来るけど、意識しない時にバランスを取っているだろうものが使えないというのは、何とも不安定で落ち着かない。 ああ、でも、きっと離れてしまったら、もっと落ち着かないだろう。 ぬくもりを無くしたら、泣き出してしまうかもしれない。 それでも気恥ずかしく、ちょっと悔しかったから、指先で包んでいる手を弾いてやった。 ちょっと目を見開いて驚いた表情をした後、ギュッと優しく左手がさらに包まれる。 目の前の笑顔は、もっと深く優しかった。
END
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