確認事項
高柳 悠
持っていた筆で書類の最後に署名を書き込み、凝った彫りの立派な印をドンと押す。 繰り返したおかげで書類はほとんどなくなり、夜遅くまで王に付きあわされていた諸官のほとんどは既に退出した後だ。 残っているのはお目付け役の惟端と朱衡のみ。 終わりが見えているので、多少だらだらやっていても、お小言は飛んでこなかった。 ドンと印を押して、ふと尚隆は考え込んで腕組をして天井を仰いだ。 こういう時の尚隆が真面目なことを考えているとは限らないことを知っている側近二人は、知らん顔で自分の仕事を進めている。 「うーむ」 唸った尚隆は暫くしてから、両名に声をかける。 「六太って、可愛いと思うか?」 ほら、やっぱりくだらない事を・・・・・・・。 と顔を見合わせた二人は、何と答えてよいのか分からない。 「台輔・・・ですか」 朱衡は首をかしげ、惟端は尚隆と同じで天井を仰ぐ。 「天邪鬼だし」 「がさつだし」 「行儀が悪いし」 「サボるし」 「口は悪いし」 ・・・・上げるとキリが無い。 六太には他国の麒麟に普通に備わっている、気品とか威厳とかがまず無い。 だから、たまに凛とされると驚いてしまうほどだ。
うーん、と考えている二人に、尚隆は重ねて質問をした。
「六太は、可愛いか?可愛くないか?」
再び顔を見合わせた二人は、何も疑問を感じずに即答した。
「可愛いですね」 「可愛いな」
そうか、と尚隆は頷く。 「主上は台輔が可愛くないのですか?」 朱衡が逆に質問すると、いいや、と尚隆は首を振る。 「めちゃくちゃ可愛い」 だけどな、と続けて 「たまに確認しないと、自分だけ変なのかと思うじゃないか」 良かった良かった、と難問が解けたように尚隆は嬉しそうに頷く。 一緒に変にされた二人は、一緒にしないでくれと言いたかったが、とりあえず黙っていた。 確かに六太は、あれだ。 可愛いが、あれなのだ。 尚隆の気持ちは分かるから、黙っていた。
やっぱり玄英宮で上り詰める条件は、六太を可愛いと思えること、だという裏条件は正しいのだな、と思う側近達であった。
END
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20分で書くとこんなもんだ・・・・
六太は可愛いよー可愛いんだよーー!!
ホントだよーーーー・・・・・(汗)