尚隆×六太

HP四周年 お姫様だっこスペシャル

高柳 悠

「お姫様だっこ・・・・・・って正式名称なのか?」

尚隆の疑問ももっともなことだろう。

だが、聞かれたって六太だって知らない。

「俺に聞くなよ」

答えた六太は正式だか通称だか不明な「お姫様だっこ」をされて、尚隆の腕の中に納まっている。

背中に手を添えられて膝裏に腕を通されて、横抱き状態だ。

している方とされている方の感想は一致している。

 

居心地が悪い。

 

「六太、ちっちゃすぎ」

原因はこれに尽きる。

しかも軽いので、両手で抱きかかえると存在感がない気がする。

六太にしてみても、尚隆の顔が遠くて抱いてもらっていても距離を感じて不安になる。

「普通こういう抱き方をすると、妙な気分になるもんだけどな」

うーん、と首をひねる尚隆に六太はムッとするしかない。

「どこで妙な気分になったんだよっ」

「妬くな」

「妬いてねーよ」

ふん、と鼻をならしてそっぽを向いた六太を、少しの思案の後尚隆は抱えなおした。

気合を入れる必要もなく、軽い身体は尚隆の腕の中で体勢を変える。

曲げた左腕に座らせるように抱えて膝を掴んでやれば、それは抱きかかえられるときの何時もの姿勢だ。

視線も同じくらいになって、身体の力を抜いて寄りかかれば肩口が枕となって丁度いい。

いきなり行動されて驚いたので、六太は思わず尚隆の首に腕を回して抱きついてしまった。

そのせいでほんの数センチ前に尚隆の顔がある。

だが、先ほどまでの遠い距離よりは、よっぽど安心できる。

「・・・・・うん」

納得して頷いて、六太はいつもの通りぽてんと頭を肩に押し付けて目を閉じた。

 

END

 

 

 

私・・・六太をちっちゃくしすぎ?