騎乗位
尚隆×六太
HP二周年 騎乗位スペシャル |
高柳 悠
「六太」 夜更け。 気持ち良く寝こけていた六太は、名前を呼ばれてほんの少し覚醒した。 だが、眠気が勝って声のした方をは逆に寝返る。 「六太っ」 今度は声といっしょに身体を揺すられて、覚醒を促された。 「・・・ぅ・・・」 身体を丸くして抗おうとしたが、こんなに近くにある圧倒的な王気に麒麟の本能が勝てずに結局振り向いてしまった。 とりあえず、不満だという意思表示に振り向くと同時に足蹴りを食らわせる。 それは何なくかわされて、麒麟にあるまじき態度な舌打ちという結果に終わったが・・・。 「尚隆ぅ・・・・くだらない内容だったら、容赦しないぞっ」 尚隆がこんな風に訪れる時は、たいていろくな内容ではない。 話したくて仕方がない様子に釘をさしておいてから、一応聞いてやるとこにした。 「例の海客がなっ」 尚隆は嬉しそうに話し始めたが、話しの根源が例の海客だと分かった時点で六太はげんなりしている。 例の海客の蓬莱からの知恵ははっきりいって、ろくなもんではない。 だから尚隆と話しが合うのだろうか。 「・・・・・騎乗位つーのがあるんだそうだ」 「は?」 絶対馬鹿らしい話なので、中途半端に聞き流していた六太は聞きなおす。 どうやらこの辺が一番話たい内容らしいので。 「だからな・・・・」 尚隆はもう一度話をするのではなく、牀榻に横になると六太を引き寄せ自分の上に押し上げた。 腰のあたりに乗っかって、きょとんと尚隆を見つめる六太は何がなんだか分かっていない。 「これが、騎乗位と蓬莱ではいうのだそうだ」 にやりと笑って、思わせぶりに六太の双球をを大きな手で揉みしだく。 「なっ・・・おっお前・・・サイテー、最低ーーっ」 真っ赤になって暴れてたが、尚隆に抱え込まれて腕の中に閉じ込められる。 ジタバタ暴れても、こうなってしまえば体格差がありすぎてどうにもならない。 「サイテー、サイテーっ」 押さえ込まれて手足が振り回せなくなったが、それでも口だけは抵抗を止めない。 尚隆は、それも平然と受け止めている。 「馬に乗っているようだから、騎乗位と言うらしいが・・・・・」 涙目になっている六太を見下ろして由来なんかを説明しているが、目が笑っている。 「何だよっ」 「お前、馬みたいなもんなのになぁ、でも俺に乗ると騎乗位なんだよなー」 その辺りが尚隆のツボにはまったらしい。 馬なのに騎乗位〜、とうけている尚隆を見つめる六太の目が冷たいことには気が付かない。 笑いすぎて六太の抱き込む腕が緩んだのにも、気が付かない。 そして六太がその隙を逃すわけななく、抜け出してすかさず渾身の蹴りを食らわした。 今度は受け止めそこねたそれを、見事に顔面にくらってノックアウトした尚隆をそのまま捨て置いて、六太は妨害された安眠を再び求めて眠りについた。
END
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