騎乗位
ガッツ×グリフィス
HP二周年 騎乗位スペシャル |
高柳 悠
城内に与えられた個室で、このところ増えてきた机上処理を手早く処理していたグリフィスは扉が開く音で、そちらを振り向いた。 視線の先に立っていたのは、町に飲みに行くと言っていたガッツだった。 「どうした?」 帰ってくるには随分と早い時間で、ちょっと驚く。 「いや・・・・ちょっと」 と言って、壁一面を陣取っている本棚に向かうと、何やら探し始めた。 やがて見つけたのか、どっかりと座り込むと乱暴にページをめくる。 ガッツが本を取った位置から、だいたい何を手に取ったのか分かったグリフィスは、興味深げに様子をうかがっている。 集中すると回りのことはあんまり気にならなくなるガッツは、見られていることも知らないでページをめくり、探しているものが見つからないことに苛立ち始めている。 もとより書物など苦手だから、余計に苛立つようで、グリフィスは紙が破れないか心配になってきた。 仕方ないので、手伝うことにして席を立つ。 「何を探しているんだい?」 「コルカスが、話していたんだ」 「何を?」 「・・・夕べの女は積極的で情熱的だったって」 「へぇ」 「騎乗位でバンバン腰使ってきて、天国だったて言ってた」 「ほぉ・・・・・・・、で?」 「騎乗位、ってどれだ?」 ずっと本をグリフィスに差し出す。 差し出された本は絵図入りの性教育書だか、どっちかというと下世話な部類の興味を満足させるもので、ガッツが乏しい性知識を補うためにたまに見ていることがある。 「興味持った訳?」 受け取ってパラパラめくって、該当個所を探し出す。 「あ・・・・いや・・・その・・・・いもんなのかなぁ・・・・って」 ようするにコルカスに当てられて、試してみたくなったのだろう。 でも、どのようなのか分からない。 しどろもどろに言い募っているうちに、試してみたい相手に探させているという事実に気づいて、もっとバツが悪い。 「あった」 「どれだ?」 それでも、知りたくてずっと身を乗り出す。 グリフィスは本をガッツの方に向けて、差し出す。 目の前にひろがる男女の絡み合った絵図を食い入るように見て、止まった。 じっと見つめから、本の向こうにあるグリフィスの顔を伺う。 「これが、騎乗位?」 「そう」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 ガッツはグリフィスから本を受け取ると、ぱたりと閉じた。そして、元にあった位置に本を戻す。 何だ、という表情だ。 グリフィスとの行為の中じゃ珍しくない。 たしか最初から、これだった記憶がある。 何だ。 せっかく試してみたかったのに。 「邪魔した」 つまらなそうに部屋を出て行こうとするガッツに、グリフィスは声をかけた。 「試してみなくていいのかい、ガッツ?」 振り向くと、にっこり笑うグリフィスがいる。 ちょっと考えてから、ガッツは半分開いているドアを再び閉じた。 初めてじゃなくったて、天国にいけることには変わりはないのだから。
END
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