HP開設記念キススペシャル |
高柳 悠
「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「ガッツ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・ガッツ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 ガッツに悟られないようにグリフィスは息を吐き出す。 緊張しているのは分かるが、これではこっちまで妙な緊張をしてしまう。 あーんなことやこーんなことまでしているんだから、今更キスの一つや二つで緊張されてもこっちも困ってしまう。 そうは思っても、この辺がガッツのいいところでグリフィスも気に入っていることだから、文句を言っても仕方がない。 が、この状態はどうしたらいいのだろう。 「で・・・・どうするんだい?ガッツ」 ベットに腰をおろして優雅に足を組みながら、真正面に立っているガッツを見上げる。 「・・・・・・キスする・・・・・・・」 ぼそり、という擬音がぴったりと当てはまる話し方で答えたガッツは、明後日の方向に視線を飛ばしている。 「昨日、一生懸命読んでいた本は役に立たなかったのかい?」 「いや、役にたった・・・・が・・・・・・・っ」 グリフィスと目を合わせないままで、緊張しながら意識散漫のガッツは何気ない質問に何気ない言葉で返しそうになり、慌てて口を噤んだ。 が、すでに遅くて、グリフィスの瞳は嬉しそうにきらきらしている。 「・・・・・・・なんで知っている?」 グリフィスの書庫から、こっそりもってきた「裏技テクニック本」。 図解入りで、「秘技」の文字がデカデカと打ち出された本である。これをガッツは昨晩寝ないで読破した。まともな読書(?)は生まれてはじめての経験だ。 「ガッツのことなら何でも知ってる」 くすくすと笑うグリフィスは 「さて・・・・」 と、表情を改めると、どうする?と上目遣いにガッツを見やる。 「どれを試したい?」 妖艶な美貌がうっとりと笑む。 「全部」 にやりとガッツが嘲う。 細い頤を両の手で包んで口唇を奪う。 手始めはセオリー通り、キスで始まる。 END |