15000番キリ番ゲッター 八坂 深果様リクエスト サイバーフォーミラー グーデリアン×ハイネル |
高柳 悠
今日という日が終わるまで、後、30分。
グーデリアンは現在寝起きをしているホテルの一室で、同じくこの部屋で寝起きをしているハイネルを待っていた。 予選前夜。 ドライバーとして休養を取り明日に備えることも仕事のうちのグーデリアンは、マシンのセッティングが終わった段階でそうそうに帰された。 だが、今日は監督してマシンデザイナーとして、ハイネルにとって手を抜くとこの出来ない大切な一日だ。 なかなか帰ってこないハイネルを、だからグーデリアンはこうして待っている。 レーシング界に長く身を置くものとして、今日という日が明日という日に、そしてその後に控える本線にいかに大事な日かということは、とてもよく分かっているが、今日だけは今日中に帰ってきた欲しかった。
今日が終わるまで、後、20分。
刻々と正確に時を刻む腕時計は、ハイネルから送られたものだ。 同じチームで迎えた初めての、今日。 「お前は時間にルーズすぎる!」 と、世界に名だたるスイス製の時計をプレゼントしてくれた。 送り主の性格をそのまま受け継いだように、今も同じリズムで時を刻んでいる。 それが、早く感じるのは、グーデリアンの心の問題だろう。
今日が終わるまで、後、10分。
毎年、落ち着いて今日という日が迎えられない。 スポンサーやファンサービスとしては盛大に宣伝として使えるので、あっちこっちに引っ張りだこだが、だいたい当日ではなく前後の日程の取れる日で、当日はチーム専属のシェフがケーキを焼いてくれるくらいだ。 そして、軽く乾杯。 サーキット中なんて、そんなもん。 一番祝って欲しい人と、二人きりで・・・なんてとんでもない。 でも、たとえ一瞬だけでも、今日という日を祝えたらそれで、いい。
今日が終わるまで、後、5分。
今頃、猛スピードでエントランスに乗り付けて、ベルボーイにキイを投げつけるように渡して、回転扉をくぐっているだろう。 何時も優雅なその人の行動に、きっとベルボーイはびっくりして目をむいているかもしれない。 本当は走りたい気持ちを抑えながら、早歩きでカウンター前を横切って、エレベーター前へ。 ここは最上階のスイートで、エレベーターはここ専用が完備されているから、待ち時間は少ないけど、実は短気なので最上階へのボタンをガンガン押して舌打ちしていに違いない。
今日が終わるまで、後、3分。
エレベーターの中は、小刻み床を叩くつま先の音が響いている。 あぁ、あそこも重厚な絨毯が引きつめられているから、音はしないか。 チン、という軽い音とともに開いた扉が開ききらないうちに、表に飛び出してスイートの豪奢な二枚扉の前までは、すぐ。 でもカードキイを何処にしまったか分からなくて、扉の前できっと慌てている。 きっちりしているようで、こういうところが彼らしい。
今日が終わるまで、後、2分。
ようやく見つけても、気ばかり急いてカードが入らず、時間ロス。 ドンッ、と扉を一度だけ叩かれた。 ノックではなく、いらだっていて、きっと無意識。 開錠の音は、微かな電子音。
今日が終わるまで、後、1分。
開いた扉の先にグーデリアンを捕らえる。 「後、30秒」 不安そうな表情に笑ってあげる。 腕時計を確認して、そいう言うと、ほっとしたように息を吐き出した。 「・・・・・誕生日おめでとう、グーデリアン」 「ありがとう、ハイネル」 ハイネルからの祝福のキスは、タイムリミット1秒前。
END
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グーハーってこっぱずかし〜〜〜(汗)
全然ラブラブにならん・・・・
不鮮明でごめん