5000番キリ番ゲッター 八坂 深果様リクエスト 闇の末裔 都筑×巽 |
高柳 悠
ぐったりとベットに横たわり、まだ荒い息を繰り返す。 仰向けに転がって、だるい腕を上げて髪をかきあげれば、汗を吸い込んで濡れた感触が少し気持ち悪い。 とにかく気だるくて、起きる気力は無かった。 自分をこんなに疲れさせた張本人は傍らには居なくて、半開きの寝室のドアからごぞごぞと徘徊している音が漏れてくる。 受身の方が体力の消耗が激しいとはいえ、平然としている都筑の体力には恐れ入る。 しばらくして戻ってきた都筑は、巽のガウンを勝手に着こんで、これまた勝手にアサって見つけたワインのビンを片手にしていた。 「あんたは・・・・・・・人の家を勝手に・・・・」 「まーいーじゃん」 上機嫌でベットの隅に腰掛け、一つだけ持っていたグラスをベットの上に転がす。 コルク抜きで器用に栓を抜き去ると、グラスになみなみと注いで、くーーーーっと飲み干した。 作法もなにもあったものではない飲み干し方に、すでに無いも言う気はない。が、目は物を正直に話してしまうらしく、視線に気がついて都筑が巽をみる。 「何?巽も飲みたいの?」
強烈な虚脱感と戦っている巽のことなどお構いなしで、二杯目をグラスについだ都筑はそれをまたくーーーーっと飲むと、巽の顔を上げさせた。 「っちょ・・・っと・・・・」 制しの言葉もかける隙もないまま、合わさった都筑の口唇から巽へとワインが流れ込んでくる。 むせる間もなく飲み下されたワインは、妙に生ぬるく食道を焼いた。 ワインがなくなった後も、残り香を楽しむように都筑の舌が巽の口内を蠢いていく。舌の上をざらりと舐め上げられて、背中の震えを止めることは出来なかった。 さんざんかき回してから、飲み込み切れなかったワインの筋をたどって、都筑の舌が首筋をたどっていく。 「あーあ、シミになっちゃってるよ」 という無邪気な台詞は、耳元で響いた。 「あんたが無茶なことするからでしょう、まったく・・・・・」 ごんとひとつ後頭部に拳骨を落とすと、肩口に顔をうずめいてた都筑がくすくすと笑う。 しばらく笑っていたが、ふいに止めると、よっこいしょっと呟きながら巽の上からどいた。 さっきまでと少し気配が変わったのに気が付いた。そういえば髪が湿っていた。 「帰るのですか?」 泊まっていくものだとばかり思っていた巽は以外そうに、問い掛ける。 「うん、シャワーもざっとだけど借りたしねー。ほら、明日から仕事あるみただしねー」 「ああ」 「あ、やっぱ知ってるの?課長教えてくれないんだもん」 「内緒です」 「ちぇー、まったくなー、パートナーいないから、たいしたこと出来ないって言ったのにさー」 言いながらガウンを落として、その辺に脱ぎ散らかしてあった自分の服をつけていく。いつもと変わらない黒のスーツ姿。 「・・・・・・・・都筑さんの希望のパートナーはどんな人なんですか?」 最後に黒のロングコートは羽織って巽の方に向き直った都筑は、このベットの上で自分を蹂躪尽くした人とは別人に見える。 「・・・・・・・ずっと、一緒にいてくれる人」 少し離れた位置から、ベットに上にいる巽を見つめている。少し低くなった声は、きっと語った言葉が本心だったからだろう。 「じゃぁね」 くるりと背を向ける背中。 見送って、ドアの閉じる音を静かに聞いた。
明日、あなたは運命の人に、会う。
END |