ベルセルク ガッツ×グリフィス


白泉社・ヤングアニマル連載・原作者は三浦健太郎。

凄い話です。正直言って、書いてるうちに設定が変化していき辻褄が多少狂っても「それなりに面白いから、まぁいいか」というようなお手軽な作品(それはそれでとってもいい作品もあるけど!!)を読みなれてしまっていた私には凄い衝撃的な漫画でした。設定というものを熟考して計算して細密に組み立てて、そして精魂込めて描き上げればこんなに素晴らしいものになるんだ!というお手本みたいな作品です。

人間なんて虫けらみたいにバサバサと簡単に殺されていく話だけど、その「簡単な死」にすら意味がある。こんなに惨たらしい拷問シーンを描くなんて・・・・と思うけど、それすら展開上必要なもの。全部に全然無駄が無い。グリフィスが落ちていく展開なんて、もーこれでもか!!という感じだし、鷹の団なんて皆殺しで救いようがない。けれど今度の展開に絶対必要なんだと思える訳!本当はいやなんだけどね・・・・だって怖いんだもん。グリフィスという人は誰もがはっとする美貌と知力と統率力を兼ね備えた絶対的なカリスマ性を持っていて「鷹の団」編ではただの盗賊団から一国の騎士団長までになって、爵位も貰ったりする。そのあたりの栄光への軌跡と鷹の団の結束力の強さとかが、かなり長く描かれているのに、落ちる時はあっという間というか、文字通り転がり落ちる。見る影も無くやせ衰えて手足の腱を切られて自力では立ってもいられないグリフィス。それでもグリフィスをしたって結束を固める鷹の団をグリフィスは裏切って新たな力を手に入れる訳だけど・・・・・・・何かもう・・・・・もう・・・もう・・・・読んで!!

思い出しても鷹の団滅亡シーンは泣ける!グリフィスはしてはいけない決断だったけど、すっごい悲しいけど!でもグリフィスなりに追い詰められちゃってたんだよね。今まで読んではお手軽漫画だと後の方で「実は生きてた」とかあるんだろうけど、無いだろうな。鷹の団、大好きだったよ。貴方達にずっとグリフィスの側にいて欲しかった。でも裏切ったのはグリフィスで・・・・・・残念でならない。

生まれ変わって魔王様と御成りになったグリフィスはその後ほとんど出てこなくって、ヤキモキしてますが明るい未来が来てくれたらいいなぁと心の底から願っています。

まだまだきっと先の長い話です。それに青年誌掲載ですので青年誌用の描写もあります。何より戦はもとより惨殺シーン・拷問シーン・皆殺しシーン等など、リアルです。妊娠中や気分の悪い時とかは進められません。そういうのが嫌いな人も止めましょう。徹底的に描かれてます。酷い、とは思いますが、漫画の進行上必要だと読めば思えると思います。でもね、嫌な人は嫌よね。止めてね。


 

 

ガッツ

絞殺死体の母親から生まれた所を傭兵団(盗賊まがい)のリーダー格の愛人(?)に拾われて育てられる。育てられた傭兵団を出奔後、ひとりで傭兵として生きていく。が、グリフィスと会う。グリフィスの剣技に簡単に負けてしまい、それ以来グリフィスの片腕として共に生きていく。鷹の団の名実共にNO2となったが、グリフィスの「下」ではなく「同等の友」となり高めあって生きていきたいと願い、そのため鷹の団を離れる決心をする。このことがきっかけで鷹の団滅亡が始まる。

ガッツは本当にグリフィスが大事で、グリフィスの生き様に共感していて、それに恥じないようにグリフィスの恥にならないように自分を高めよう、そんな考えで鷹の団を離れようと思ったんだけど・・・・・そんなことさえ思わなけば!!!と思ってしまうのは私がグリフィスファンだから!言葉が足りなかったんだよね。黙って出て行くなんてことはしないでちゃんと話をしておけば良かったはず。でもきっかけとはそんなもの。ガッツが魔王となったグリフィス(フェムト)をどうしたいのかが今後の展開として気になるところです。

グリフィス人間じゃなくなったけど、人間のはずのこいつも絶対人間にみえません(笑)。自分の身長ほどもある幅広に剣を豪快に振りまわす離れ業をかましてくれます。

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グリフィス

全ての栄光を手に入れることが出来るほどの器量をもち実際手に入れるところまでいったが、ガッツ離反のさいガッツに負けてしまい初めての挫折を味わう。そのせいで自棄になり自滅。ガッツに牢屋で拷問に曝されるがガッツと鷹の団に助け出される。が、舌を抜かれ手足の腱は裂かれ骨を皮ばかりとなり自力で立つ事も出来なくなっていた。自分のありさまに絶望して自殺を図ろうとするが、そこで無くしたはずのペンダントを見つける。ペンダントとしてずっと持っていたそれは「ベフェリット」因果応報により選ばれた魔界の住人になるための印だった。しかもグリフィスのものは「真紅のベフィリット」で魔王になる特殊なものだった。魔王になるために今まで一番大事なものを全て奉げなければならず、グリフィスは今まで一緒に戦ってきた「鷹の団」を奉げてしまう。鷹の団滅亡により、失った力を取り戻し「闇の翼フェムト」となる。

たった一回の自棄が簡単に破滅へと転がってしまった。今までの輝きから一転するさまはいっそ見事である。鷹の団を奉げてしまったことはあまりにも悲しいことで言葉も無いが、グリフィスであった最後の瞬間の静かな瞳が悲しい最後を迎えない希望であることを祈る!

私はね、一目ぼれだったの彼に!生き方を見てみたかった。本当は人間で、グリフィスという人でいて欲しかった。貴方に貴方でいて欲しかった!!